いま、SNSやニュースで話題となっている不動産投資商品「みんなで大家さん」。
成田空港北西部の開発などに出資すれば分配金が得られる――そんな触れ込みで全国から約3万8000人もの投資家が集まり、総額2000億円もの資金が動きました。
しかし2025年11月、出資者1191人が運営会社「都市綜研インベストファンド(大阪市)」に対し、約114億円の出資金返還を求める訴訟を起こしたことで注目が再燃。
「分配金が支払われない」「計画が進まない」など、不安の声が広がっています。
この記事では、
をわかりやすく解説します。
投資を検討している人も、すでに関心を持っている人も、ぜひ最後まで読んで今の実態を把握しておきましょう。
1. 「みんなで大家さん」の基本概要
「みんなで大家さん」は、株式会社都市綜研インベストファンド(大阪市)が運営する不動産小口化投資商品です。
投資家は複数人で資金を出し合い、不動産の運用益や賃料収入を分配金として受け取る仕組みになっています。
主な特徴は以下のとおりです。
- 最低出資金額:100万円〜
- 想定利回り:3〜6%前後
- 運用期間:3年〜5年
- 対象物件:商業施設・ホテル・開発用地など
「大家さんになれる」というわかりやすいネーミングと、少額から始められる手軽さで人気を集めました。
しかし、その裏でリスクの大きさが指摘されることも増えています。
2. メリットとデメリット
メリット
- 少額から不動産投資が可能
通常は数千万円かかる不動産投資を100万円から始められる。 - 管理の手間がかからない
物件の維持管理は運営会社が行うため、手間が少ない。 - 分配金が定期的に得られる仕組み
安定した不動産収益を期待できる。
デメリット
- 元本保証がない
運用状況によっては元本割れのリスクがある。 - 換金性が低い
契約期間中は原則として途中解約できない。 - 運営会社の信用に大きく依存
実際の投資成果は運営側の判断に左右される。
これらの特徴から、「投資初心者でも始めやすい一方で、仕組みを理解しないまま参加すると危険」という声が多く聞かれます。
3. 口コミ・評判まとめ
インターネット上の口コミを分析すると、評価は賛否両論です。
良い口コミ
- 「想定通りの分配金が得られた」
- 「説明がわかりやすく、少額から試せるのが良い」
悪い口コミ
- 「分配金が遅れている」
- 「途中解約が難しい」
- 「問い合わせに対する対応が遅い」
特に2024年以降は、分配金の滞納や開発計画の遅延を訴える声が目立ち始め、SNSでは「怪しい」「不安」という投稿が急増しています。
4. 「怪しい」と言われる理由を検証
「みんなで大家さん」は、2024年に大阪府から不動産特定共同事業法に基づく業務の一部停止命令を受けました。
理由は、投資家への重要事項説明の不備や適切なリスク開示が行われなかったこと。
こうした行政処分がきっかけで、「みんなで大家さん=危険」「詐欺まがいでは?」という誤解も広がりました。
ただし、現時点では会社自体が倒産しているわけではなく、事業継続の姿勢は示しています。
一方で、2025年11月に出資者1191人が約114億円の返還を求めて訴訟を起こしたことで、再び信頼性が問われている状況です。
投資家側の主張は「解約後に資金が戻ってこない」「事業計画が変更されているのに説明がない」というもの。
この点が今後の裁判の焦点になりそうです。
5. 他の不動産投資商品との比較
| 項目 | みんなで大家さん | 不動産クラウドファンディング | J-REIT |
|---|---|---|---|
| 最低出資額 | 約100万円 | 1万円〜 | 数百円〜 |
| 想定利回り | 3〜6% | 4〜8% | 3〜5% |
| 流動性 | 低い(途中解約不可) | 中〜高 | 高い(証券市場で売買可能) |
| 元本保証 | なし | なし | なし |
| 運用主体 | 都市綜研インベストファンド | 各クラファン事業者 | 上場REIT運用会社 |
この比較からも分かる通り、「みんなで大家さん」は他商品に比べて投資額が高く、流動性が低い点が特徴です。
一方で、実物不動産を直接扱う安心感を求める層には一定の人気があります。
6. 投資を検討する際の注意点
みんなで大家さんをはじめとする不動産小口化商品に投資する際は、次のポイントを必ず確認しましょう。
- 契約書・重要事項説明書の内容を把握する
分配金の支払条件・途中解約の扱い・リスク説明などを細かく確認。 - 運営会社の財務状況をチェックする
直近の決算公告・行政処分の履歴がないかを調べる。 - 複数の投資先を比較する
他のクラウドファンディング型不動産投資やREITと比較し、リスクとリターンのバランスを見極める。 - 「元本保証」などの甘い言葉に注意する
不動産特定共同事業法では、元本保証をうたう行為は原則禁止されています。
📝まとめ:みんなで大家さん問題の本質と今後の見通し
不動産投資商品「みんなで大家さん」は、少額から始められる手軽さで人気を集めた一方、
運営会社への信頼性・資金の透明性・法的リスクが常に指摘されてきました。
今回、出資者1191人による集団訴訟が起きたことで、事業運営の実態や資金管理の問題が改めて注目されています。
特に「分配金の滞納」「契約内容の説明不足」「途中解約の困難さ」といったトラブルは、
今後も他の不動産投資商品にも共通するリスクとして意識しておく必要があります。
投資において最も大切なのは、「仕組みを理解すること」と「リスクを自分で許容できる範囲に抑えること」。
話題性だけで判断せず、必ず複数の投資先を比較し、契約内容を十分に確認することが重要です。
今後の裁判の行方によっては、みんなで大家さんの運営体制や投資家保護のあり方にも大きな影響を与える可能性があります。
続報に注目しつつ、冷静に情報を見極めていきましょう。

