突然の破産報道で、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の利用者の間に不安が広がっています。「前払いした料金は返金されるの？」「もう通えないの？」と、混乱している方も多いのではないでしょうか。本記事では、ミュゼの破産に至る背景や現在の営業状況、返金手続きの流れを丁寧に解説。さらに、返金を受けるためにやるべきことや、今後トラブルを回避するための対策もまとめています。脱毛契約をしていた方はもちろん、これからサロン選びを考えている方にも役立つ内容です。この記事を読めば、ミュゼプラチナムの現状と今後の対応、そして自身の取るべき行動がしっかりわかります。
1. ミュゼプラチナムの破産報道：何が起きたのか？
1-1. 破産報道の概要と背景
2025年5月15日、ついに脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」を運営するMPH株式会社に対して、従業員やその他の債権者が破産申し立ての準備に入ったことが明らかになりました。
MPHは、前身企業からミュゼ事業を引き継ぐ目的で2024年9月に設立されたばかりの新会社です。しかし、設立当初から財務トラブルを抱えており、特に社会保険料の滞納による差し押さえや、利用者からの未消化施術の返金要求が相次いでいました。
さらに深刻なのは、従業員への給与の遅配です。2025年3月には全店舗の一時休業が発表され、従業員約2,000人に対して約15億円の未払い給与が発生しているという状況が報じられました。
全国に約170店舗を展開していたミュゼプラチナムは、かつては“脱毛業界の象徴”とも言える存在でした。しかし、今回の破産報道により、その信頼は大きく揺らぎ、多くの顧客が「前払いしたお金はどうなるのか？」と不安を募らせています。
なお、今回の報道は「経営再建」ではなく「破産申し立て」という法的に非常に重い手続きである点に注意が必要です。今後の動向によっては、サービスの再開どころか完全終了となる可能性も否定できません。
1-2. 破産の影響を受ける可能性のある顧客とは？
破産や民事再生といった経営危機の場面で、特に影響を受けるのは「前払い」で契約していた顧客です。脱毛サロンでは一般的に、数万円から十数万円にのぼるコース料金を一括または分割で前もって支払う形が多く、その金額は決して小さくありません。
仮に破産手続きが開始された場合、これらの前払い金は「一般債権」として扱われ、返金を求めるには管財人に対して「債権届」を提出する必要があります。しかし、返金される金額は破産会社に残っている資産の範囲内で分配されるため、全額戻ってくるケースは非常にまれです。特に小規模な脱毛サロンでは、資産の乏しさから返金がほとんどされない例もあります。
一方で、ミュゼプラチナムは過去の民事再生手続きの際に「サービスの継続」と「返金対応」を実施しており、比較的顧客にとって救済措置が取られました。とはいえ、今後再び経営状態が悪化し破産となった場合には、未消化分の返金は極めて難しくなる可能性があります。
つまり、「前払い契約者」こそが最もリスクの高い立場に置かれるのです。
1-3. 他の脱毛サロンとの比較：ミュゼプラチナムの特徴とリスク
本日の破産報道によって、ミュゼプラチナムの抱える構造的なリスクが一層明確になりました。もともと「安価で手軽」「店舗数が多い」「勧誘が少ない」といった魅力があった反面、「前払いモデルに依存」「信託保全の不透明さ」「経営情報の開示不足」など、消費者にとって見えづらいリスクも存在していたのです。
特に、今回の破産は過去の「民事再生」ではなく、債権者主導の破産申し立てであるため、サービスの継続が極めて困難になり、前払い金の返金可能性も大きく低下しています。
他社では、破産時に備えて「信託保全」や「クレジットカードによる返金制度（チャージバック）」などを整備している場合もあります。今後サロンを選ぶ際は、こうしたリスク管理体制の有無が重要な判断材料になるでしょう。
2. 返金対応の現状と手続き方法
2-1. 返金申請の流れと必要書類
ミュゼプラチナムの運営元であるMPH株式会社が、2025年5月に破産申し立ての準備に入ったという報道を受け、多くの利用者が「前払いした料金はどうなるのか？」と不安を募らせています。現時点では破産手続きが正式に開始されたとは発表されていないものの、返金を求める行動を早めにとっておくことが非常に大切です。
破産手続きが開始されると、利用者が支払ったコース料金や施術料は「一般債権」として扱われ、債権者（さいけんしゃ）としての申し出が必要になります。具体的な流れは以下のとおりです：
- 裁判所から破産開始決定が出される
- 管財人（破産財産を管理する専門家）が選任される
- 債権届出の受付が始まる
- 指定された期日までに「債権届出書」を提出する
この債権届出書には、以下のような必要書類を添付する必要があります：
- ミュゼとの契約書や申込書の控え
- 支払証明（クレジットカード明細や銀行振込記録など）
- 施術の残回数や未消化分がわかる資料
- 本人確認書類（運転免許証、マイナンバーカードなど）
※詳細な提出先や様式は、破産手続き開始後に裁判所または管財人より案内される予定です。
2-2. 返金対象となる契約内容と条件
返金の対象となるのは、基本的に「施術を受けていない分」、いわゆる未消化役務です。ミュゼプラチナムでは、数万円から数十万円にのぼるコースを前払いで契約するケースが多く見られます。そのため、返金対象となるかどうかは、以下のような点が基準になります：
- 契約したコースの回数に対して、実際に受けた施術の回数が少ない
- 休業などで予約が取れず、今後も施術を受けられない見込みがある
- すでにコース料金の全額または大半を支払っている
ただし、破産手続きにおいては「全額返金される」とは限りません。利用者が届け出た債権は、破産財団（会社に残された資産）から優先順位に応じて分配されます。前払いの利用者は「一般債権者」にあたるため、返金額は残余財産の状況によって大きく左右されるのが実情です。
たとえば、2024年末時点で従業員2,025人分の未払い給与が約15億円あると報じられており、これらは「労働債権」として一般債権より優先的に処理されます。そのため、資産が不足している場合は、利用者への返金がごくわずか、あるいはゼロとなる可能性も否定できません。
2-3. 返金申請の期限と注意点
返金申請には、裁判所が定める「債権届出期間」が存在します。これは破産手続きが正式に始まってから、数週間から2か月程度が一般的です。この期間内に届出をしないと、返金の権利そのものを失ってしまう可能性もあるため、非常に重要なポイントです。
注意すべき点として、以下のようなものがあります：
- 債権届出は「管財人」が指定する方法に従って提出する必要がある
- クレジットカード払いをした場合でも、カード会社を通じて返金請求（チャージバック）できる可能性がある。ただし、すでに破産手続き中の会社の場合、カード会社も対応を打ち切っていることがある
- 返金に関する詐欺や偽サイトが出回る可能性もあるため、情報は必ず公式ルート（裁判所、管財人、信頼できる報道機関）から得ること
また、前払いの返金に備えてクレジットカードで支払った方は、カード会社へ早急に問い合わせを行うことをおすすめします。ただし、日本のカード会社では継続的なサービス契約に対する返金には慎重な姿勢を取ることが多く、すでにミュゼ側が決済代行を海外企業に委託していた場合は、手続きがさらに複雑化するおそれもあります。
3. 返金を受けるための具体的なステップ
3-1. 契約内容の確認方法とポイント
まず返金対応を進めるためには、自身がミュゼプラチナムと結んだ契約内容を正確に把握することが最重要です。契約書や申込書を改めて確認し、以下のポイントに注目しましょう。
- コース名と契約日
- 契約した回数と実際に受けた回数
- 総支払金額と支払い方法（現金・クレジットカード・分割払いなど）
- 未消化分の回数と金額換算
- 追加オプションやキャンペーン特典の有無
とくに重要なのは「未消化役務」の把握です。未消化役務とは、契約済みでまだ受けていない施術サービスのことを指します。この部分が返金対象となるため、通帳記録やメール履歴、マイページのスクリーンショットなどを手元に残しておくと安心です。
なお、破産申し立てが報じられた現時点では、公式からの返金受付の詳細案内は出ていませんが、破産手続き開始後は「債権届出書」の提出が必要になります。そのためにも、事前の契約内容整理は欠かせません。
3-2. 返金申請書の記入例と提出先
正式に破産手続きが開始されると、裁判所から選任された「破産管財人」より、債権届出の案内が届きます。その際に提出するのが「債権届出書」という書類です。これは「私は◯◯円の返金を求めます」と公式に申し出るための文書です。
記入の際には以下のような情報が求められます：
- 債権者の氏名・住所・電話番号
- ミュゼプラチナムとの契約内容（契約番号・契約日）
- 債権の金額（未消化施術の金額）
- 債権の内容（役務提供契約に基づく未消化分の返金請求）
- 支払証明（領収書やカード明細の写しなど）
例えば、20回コースで10回分しか受けておらず、全額20万円を支払っていた場合、返金請求金額はおおよそ10万円となります。
提出先は、破産管財人が指定する住所またはオンライン受付システムになる可能性があります。これは裁判所の公告や、MPH株式会社側の破産情報ページに明記される予定ですので、見落とさないように注意しましょう。
3-3. 返金が遅延する場合の対処法
破産手続きにおいては、返金までにかなりの時間がかかることが一般的です。手続き開始から返金まで1年以上かかることもあるため、あらかじめ長期戦になることを覚悟しておく必要があります。
そのうえで、返金が滞っている場合に取るべき行動は次のとおりです：
- 裁判所の破産公告や官報を確認し、進捗状況を把握する
- 管財人に問い合わせる（メール・電話など）
- 債権届出を済ませたかどうか、確認通知をチェックする
- クレジットカード決済を利用している場合は、カード会社に「チャージバック（返金請求）」の可否を確認する
とくにチャージバックは、返金される可能性がある最後の手段ですが、日本国内のカード会社では対応が難しい場合も多いため、支払いに使った決済会社の運用ポリシーをよく確認しましょう。
また、注意すべきは「返金代行」や「債権買取」をうたう詐欺業者の存在です。破産手続きに乗じて高額な手数料を請求したり、個人情報を狙ったりするケースもあるため、正しい情報は裁判所・管財人・信頼できる報道機関から取得するようにしてください。
4. 破産後のミュゼプラチナムの対応と今後の展望
4-1. 破産手続き後の営業状況とサービス提供の有無
2025年5月に報じられた通り、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営するMPH株式会社は、債権者によって破産申し立ての準備が進められている状況です。これに先立ち、2025年3月にはすでに全国約170店舗を一時休業しており、実質的に営業は停止状態となっています。
この時点で、公式には「サービスの再開予定」や「営業再開日」は発表されておらず、施術の提供は完全にストップしていると見てよいでしょう。加えて、同社は2024年9月に前身企業から事業を分割・継承したばかりで、資本金も1,000万円と小規模であるため、今後の事業継続は極めて困難とみられます。
さらに、従業員約2,000人に対する給与15億円分の未払いも報道されており、企業としての運営体制や雇用環境も崩壊状態にあると考えられます。つまり、破産手続き後に再び「ミュゼブランド」でのサービスが再開される可能性は、現実的にはかなり低いと推測されます。
4-2. 顧客への情報提供とサポート体制の変化
過去にミュゼプラチナムが民事再生手続きを行った際は、顧客向けにメールや公式サイトで随時情報提供がなされ、返金やサービス継続について比較的丁寧な対応が取られていました。しかし、今回のように破産が前提となる場合は、体制そのものが大きく異なります。
破産手続きに入ると、会社の資産は「破産管財人」によって管理されることになり、企業の広報部門などが顧客に対応することは基本的にできなくなります。そのため、今後の情報提供は以下のような方法に限定されることが予想されます：
- 裁判所の「官報公告」
- 管財人が運営する公式Webページや書面通知
- 一部報道機関による進捗報道
顧客は、自身の返金請求権（債権）を守るために、こうした情報源を継続的に確認し、必要な行動（債権届出など）を期限内に行う必要があります。
サポート体制についても、以前のようなコールセンター対応やマイページ機能の更新などは停止する可能性が高く、「情報は自分で取りに行く」姿勢が今後ますます求められるでしょう。
4-3. 他のサロンへの乗り換えを検討する際のポイント
現在ミュゼプラチナムに通っていた方の中には、「他に安心して通えるサロンを探したい」と考える方も多いはずです。その際に注意しておくべきポイントは以下のとおりです。
1. 信託保全制度の有無
今回のミュゼのように、前払い金が戻ってこないリスクを回避するためには、「信託保全制度」を導入しているサロンを選ぶことが重要です。これは、前払い金を第三者機関に預けることで、倒産時にも顧客の資金を守る仕組みです。
2. 解約・返金の明記された契約書
契約前に必ず「解約の条件」や「返金時の計算方法」が書かれているかをチェックしましょう。口頭だけの説明では不十分です。書面で明示されていない場合、いざという時に返金されないトラブルが起きやすくなります。
3. 支払い方法の選択
今回のようなトラブルを教訓に、クレジットカード払いを選ぶことで「チャージバック（返金請求）」の可能性を残すのも一つの方法です。ただし、カード会社や決済代行業者によって対応方針が異なるため、事前確認は必須です。
4. 経営母体の健全性
大手チェーンであっても、グループ全体の経営状態が悪ければ影響を受ける可能性があります。上場企業や医療法人が運営しているかどうかなど、会社の背景も確認することをおすすめします。
今回のミュゼプラチナムの破産申し立ては、脱毛業界のビジネスモデルそのものに潜むリスクをあらためて浮き彫りにした出来事です。次の契約では、「価格」や「通いやすさ」だけでなく、「安全性」や「万が一への備え」にもしっかり目を向けて、後悔のない選択をされることを強くおすすめします。
5. 顧客が取るべき行動と注意点
5-1. 情報収集の方法と信頼できる情報源
まず、返金や今後の対応に関して何よりも大切なのは「正確な情報を得ること」です。今回のミュゼプラチナムの破産は、2025年5月15日に報道されたばかりで、現段階では破産手続き開始の正式発表までは至っていません。そのため、憶測やSNSの噂に踊らされるのではなく、以下のような信頼できる情報源から継続的にチェックすることが重要です。
- 東京地方裁判所の官報公告（破産開始決定や債権届出期限が掲載される）
- 管財人が設置する専用ウェブページ（破産後に開設される可能性が高い）
- NHKや共同通信などの一次ソースを持つ報道機関
- ミュゼプラチナムの公式ホームページ（破産前後で一時的に更新されることも）
一方で、注意すべきはLINEやSNSなどで出回る「返金申請代行」や「債権買取業者」などの情報です。これらの多くは不正業者による詐欺や情報搾取を目的としたものもあるため、公式情報以外のリンクや連絡先にはむやみに応じないようにしましょう。
5-2. 法的手段を検討する際の相談先
「破産されてしまったらもう泣き寝入り？」と不安に思う方も多いと思いますが、法的に取れる手段はまだ残されています。ただし、返金請求には明確なルールと期限がありますので、できるだけ早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
以下は、法的手段を検討する際に頼れる主な相談先です：
- 法テラス（日本司法支援センター）
初回無料相談が可能で、所得に応じて弁護士費用の立て替え制度もあります。 - 地元の弁護士会や法律相談センター
破産・消費者トラブルに詳しい弁護士に相談することで、債権届出の書き方や証拠集めの方法について具体的なアドバイスが得られます。 - 消費生活センター（国民生活センター）
返金トラブルや契約に関する苦情を受け付けており、自治体ごとに相談窓口が設置されています。
また、クレジットカードで支払っていた方は、カード会社へのチャージバック申請も選択肢の一つです。ただし、継続的役務提供契約（脱毛・英会話など）は対象外とされる場合も多いため、カード会社への早めの確認が大切です。
5-3. 今後の契約時に注意すべきポイントと予防策
今回のミュゼプラチナムの破産報道から、多くの消費者が学ぶべき大切な教訓があります。それは「大手企業だから安全」とは限らないということです。次にサロンを契約する際には、以下のような点をしっかり確認することをおすすめします。
■ 信託保全制度があるかどうか
契約時に支払った前払い金を第三者機関に預けることで、万が一の倒産時でも返金が受けられる制度です。これが導入されていれば、経営リスクを大きく軽減できます。
■ 返金・解約に関する条項が明記されているか
パンフレットだけでなく、契約書本文に「中途解約」「返金割合」「手数料」の具体的な記載があるかをチェックしましょう。なければ、契約を見直すべきです。
■ 支払い方法は分散させる
クレジットカード払いを選ぶことで、チャージバックなどの手段が残る可能性があります。また、高額コースを一括払いするのではなく、月額制・都度払いにすることでリスクを分散できます。
■ 経営母体の透明性を確認する
企業情報や代表者、資本金などは法人番号から国税庁の法人情報サイトで誰でも確認できます。資本金が極端に少ない、設立が直近である場合は注意が必要です。
今回のミュゼ問題は、多くの人にとって「はじめての破産被害」かもしれません。しかし、情報を正しく集め、手続きを適切に進めれば、少なくとも損失を最小限に食い止めることは可能です。そして今後、同じような契約を結ぶ際には、「安さ」や「知名度」だけで判断するのではなく、万が一に備えたリスクヘッジも重視することが、消費者に求められる“新しい当たり前”になっていくでしょう。
